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眠っている暇はない|レディ・ジョーカーwith加納検事 他

レディ・ジョーカーwith加納検事 他

2010.04.25 23:41|その他作品感想
SHT作品が見られなかったので、感想は火曜日あたりに…見たいよう(ノД`)


10年越しの文庫化で、再三待ち望んでいた人も多かろうと思います。
個人的にはそもそもの出会いが3年前くらいなのでそんなではないのですが。
しかし、今回こうして読み返してこのタイミングでなければ改訂出来なかったのではないかと思いました。
人の死が絡み、宗教が大きな位置を占めていた『レディ・ジョーカー』は、生半可な気持ちでは向き合えない。
合田さんが(旧)版以上に変わるためにも、ベストなタイミングだったんでしょう。
……真実はわからないけれど。


そんな下巻。
読み終わった感想としては、「お蘭は?!島流しして結婚して幸せになった森くんは?!!!」
あっるぇー。

というわけで、
またまた雰囲気が前回と違うネタバレあり感想、完結編です。








   ・今回の陰の苦労人、加納検事の視点でLJをまとめると 
LJ騒動、かつ総会屋絡みでごたごた→付き合いゴルフ。新記録樹立→車を買う→
根来記者と義弟と花見。「あるいは、(中略)《ほ》の字」と早速見抜かれてかわいそうな感じ→
義弟が週刊誌に載っている。しかも社長のカバン持ち→
通い妻忠告をしにアパートへ。同僚から皮肉の一つでも言われただろう→
根来記者行方不明で心労→本格的に事件に発展→思わず義弟の部屋へ→
検察全体で失踪事件を足場に総会屋にメスを入れ始める→義弟が部屋へ。「欲情していたのだ」
孤軍奮闘な激務→義弟が刺される→「君は俺を何だと思っていたのだ」


泣きたくなる程辛かっただろう。
こちらが身をよじる程、辛くて、切なくて。もういっそ、馬鹿みたいで。
何年越しの想いを諦めていたとはいえ、告げる前に、その決断をする前に、よその男に執着して「ベタ惚れ」と言わしめるほど付きまとい、それが分かった時には既に死の淵に立たれていては。
LJでやたら合田さんが加納さんの手を握っていますが(※二回)、その時とそれから加納さん宅でのあの夜、どちらかが壁から手を出して、どちらかが壁の隙間から腕ごと引きずり出していたら、きっと結末は大いに変わっていたことでしょう。




   ・懺悔か、告白か
合田さんが告解しなかったのは、やはり女史が改宗(と言っていいくらいの宗教観の変わりようだと思うのですがどうなんだ)した結果でしょうか。
今回の方がらしくてよかったですけれど、さわやか中学生かお前!と蹴り倒したくなりました。
一体何年前から想ってたんだ?どのくらいの期間自分を誤魔化し続けてたんだ?
ああ、(確か)泣いて目が真っ赤になった加納さんが消えたのは惜しい!



   ・恋心
文庫版で改訂されたことによって、合田さんのお馬鹿さん加減が浮き彫りになったと思います。
加納家と知り合った17、8年前から、おそらく加納さんに魅かれていた。でも、自分は真っ当に生きているという思い込みからそれに気付くことなく生きてきた。
貴代子さんは一番最初の身代わりだったのではないか。
そう考えるのは簡単ですけど、あまりに辛すぎる。「祐介を出し抜いて」結ばれた2人は一体なんだったんだと。

次は『照柿』。
美保子に魅かれていたのは確実だった。でも、彼女が達夫と会っていなかったらあそこまで入れ込まなかったのではないでしょうか。
当てつけというより、達夫の見るものを自分も見たいと願った幼少期の刷り込みな気がします。

そして『レディ・ジョーカー』。
感じていた鈍い熱の塊を全部半田に押しつけておいて、そのくせ「半田がそうして俺を見ていたから俺も半田を見る」。そんな意識だったはず。
加納さんへの想いをはっきりさせたくないが為の逃避。
それを認めるくらいなら、全くの別人へシフトさせる。
―――ずっと加納さんを求めていた癖に。


本当に欲しいと思ったものに手を伸ばしたことがない。欲しいと告げたこともない。いつもその近くにある手に入れやすいもので堪える。
だって、心の底から求めているものは「普通」のものではないから。

合田さんがあんなに数奇な人生を送ってしまったのは、彼のねじりにねじ曲がった性格のせいなのではないでしょうか。
某欠陥製品ではないけれど、ある人にとってはいるだけで殴りつけたい醜い豚。ある人にとっては吸い込まれるような黒い犬の目。ある人にとっては静謐な爬虫類。
その中で爬虫類が好きだという奇特な方々がいるもんだから、合田さんは大変なんです、きっと。

確実に皮肉なのは、諦めていたけれど長年同僚や上司の皮肉に耐え続けながら通い妻してた加納さんが、実は合田さんの愛情を一心に(?)受けていたということで。
報われてんだか、報われたないんだか。



   ・クリスマスイヴ!?
LJを読むたびにハラハラするのが、合田さんはそんな加納さんの気持ちをどう受け止め、どう返事をするのか全く分からないクリスマスイヴ。
なんでその日に会いたいとか言うの!それギャルゲだと告白フラグ!
なんだかまた加納さんの気持ちを慮ることなくことが進みそうで、かわいそうな結果しか予想できないため未だに『太陽を曳く馬』が読めません。
まあ、彰之さんちが苦手なのもありますが。


   ・一番の衝撃
城山社長が死亡した。
たった9文字で、いなくなってしまった。
彼を会社ごと必死に守ってきた白井さんは、何故自分ではなくと悔やんだであろう倉田さんは、やっと帰ってきた夫をまた失った奥さんは、別れを告げなかった野崎秘書は、なにより城山さん自身は。
どう思っていたのか明かされることなく、お宮入りしそうだと嘯いて終わり。

人が死ぬとは、一体どういうことなのでしょうか。

まだ杉原さんのがよかったよ。
あっさりすぎて呆然としました。単行本と変わりないですけどねー。



   ・ラストシーン
「レディ・ジョーカー」なんて巫戯化た名前の見切り発車なグループは、誰に知られることもなく幕を下ろす。

澄んだ空に真っ平らな草原の中を走る車。まるで導かれるように辿りついた小屋で宿命の人物を見つけるラストシーンの解放感と畏怖、それを感じるために私は繰り返し繰り返し読んでいるのかもしれません。
個人的には、女性が大した不幸を被る描写がなく終わっている稀有な作品だと思っています。佳子ちゃんくらいじゃないですか、直接描かれているのは。
そのくらい理不尽に不幸になった人が少ないのも理由の一つです(笑)

ちょっとですけど、改稿されてましたね。
喋った方が物井さんらしかった。でも、何も言わず眼力だけで久保さんを退かせた方が、確かに悪鬼だった。
強く太い濁流に流され、利用されたとしても、物井さんは悪鬼だった。
最後に再認識できたので、割と気にいっている改稿だったり。



   ・レディ・ジョーカー
未曾有の脅迫事件を起こしている癖に、一貫してレディ・ジョーカーの面々に流れる純粋さ。
穢れを知らないレディの悲惨さ、醜さ。
遠い他人を慮りながら、近しい人々を想わない白々しさ。
相手を傷つけながら好きだと言う虚しさ。

そんな相反した描写が、煙にまかれることなく描かれている。
ある意味で人間味溢れる心理描写が各登場人物に共感を抱かせ、ページを捲る手を止めさせないのかもしれません。
なんだか段々意味が分からなくなってきましたが、とにかく、『LJ』は「合田刑事シリーズ」の中で最高傑作であり続けると思います。












ヨウちゃんがどのような経緯で北海道から戻ってきたのか。
広い広い世界で物井さんは何を考えているのか。
大金はどこにいったのか。
そして、この先どうなってしまうのか。
決して語られることのない誰も知らない未来。

一切不安はないはずなのに、先が見通せない。出口の光は見えているのに、何故かそこに辿りつかないトンネルのようだ。

テーマ:読書記録
ジャンル:小説・文学

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