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眠っている暇はない|嫌いだけど『消失』見てきました。

嫌いだけど『消失』見てきました。

2010.02.26 17:36|その他作品感想
ハルヒシリーズの中で異色を放つ作品、それが『消失』。
その色ゆえに、この作品はシリーズ最高傑作であり、個人的に嫌い……というか、苦手な物語です。
でも見に行ったのは、『消失』はハルヒを語る上で外せないし、何より評判がよかったからです。


実際、映画は
よくぞここまで!
というくらい素晴らしい出来でした。
3時間弱の長丁場を飽きさせない構成、物語の転換期に湧きおこる音楽、各キャラクターの表情の機微、ぬるんとした動き、惜しみない背景・小物を使った演出。

いつまでも続くはずだった日常が、ある日激変する。
それでも街は変わらず、人も変わらず、自分も変わらない。
なら、別にいいんじゃない?
そんな混乱と葛藤と迷いをしっかり描いていたと思います。
あと、『優しい忘却』はとてもいい歌でした。個人的にはアカペラは驚いたけど余韻に浸れてよかったです。


キョンとハルヒのやりとりや、なかなか進まない恋愛模様なんかが大好きなら、消失は涎出るくらい楽しい映画です。
有希とみくると一樹が好きな人にはちょっと辛いけれど、でもみんな見せ場があります。もっともっと大好きになりました。
とりあえず、ミニスカサンタと学ランと短パンとベストと眼鏡と帽子とマフラー&コート萌え。
冬万歳!!!


見る時は、トイレだけは忘れずに。
飲み物とポップコーンはいりません。




とは言ってもやはり『消失』は苦手なのでその理由を述べつつ、ハルヒシリーズを振り返りつつ、映画の素晴らしさを語れたらいいなと思います。

ハルヒが全編通してかわいかったとかみくるんの生足最高とか鶴屋さんがカッコ怖いとか一樹林檎剥き過ぎ!とか朝倉さん嫁に欲しいわとか全部が回ってそれまでの閉塞感から抜け出すように走るシーンの素敵さとかその他もろもろには触れません。
が、例のシーンのあえぐ長門とラスト間際で怯える長門は最っ高でした。あれだけでもお金払った価値がありました、ええ。









「この世界は涼宮ハルヒの手に委ねられている」
古泉一樹、ひいては機関はそう言った。
この世界の在り方は、彼女の機嫌一つ。
だから、未来人も、宇宙人も、超能力者も、みんな彼女の機嫌を損ねることを恐れていた。

そんな中に現れたのが、平凡で、何のとりえもないはずのキョン。
何も知らないず、何の苦労もせず、彼はハルヒを変えてしまった。
それも、良い方向へ。

ハルヒが「キョンと一緒にいたい」と思った時点で、この世界は2人のためのものになった。
それを、一樹も有希もみくるも理解している。

でも、理解と感情は別で、それが集約されたのが一樹の、
「うらやましいですね」
という、かき消されるてしまうくらい小さな呟き。

客観的に見て。
有希も、みくるも、キョンが好きです。
一樹も、ハルヒが好きです。それは恋愛感情と呼べないものかもしれないけれど。
(一樹の場合は、女の子皆がキョンに対して特別な感情を持っていて、仮にキョンに起こった出来事(異常事態や病気など)が自分に降りかかったとしても、きっと同じくらいの反応は返ってこないことがわかっているからこその、ベクトルがキョンに向いた嫉妬と捉えることも可能です。)


恋と同じくらいの好きという気持ちを抱えているけれど、3人が“ここ”にいる理由はその想いを叶える為じゃない。


『消失』はその事実をはっきりと突き付けてきます。
だから、登場人物のうちで特に一樹が大好きな自分にとって、この物語はとても辛く感じます。
(みんな好きです。でも、一樹の色々な葛藤と一番深い闇を抱えていそうなところがとても気に入っています)



その中でピックアップされているのが長門有希という、感情を持たないヒューマノイドインターフェース。
宇宙人というより人造人間だと思うのですが、どうでしょう。

長門はキョンに恋をした。
でも、“感情を持たない”彼女にその感情は理解できない。
白黒の世界がカラーになった。でも、そんなのわかりません、気付けません。(…っていう児童文学あったなあ)
カラーな世界を彼女はどう認識したのか。
異常動作を引き起こした有希は、世界を作りかえる。

改編後の「長門有希」が、如実に彼女の願いを表しているように感じられます。
みくるのようなかわいい、引っ込み思案で照れ屋で、気の強くない普通の女の子。
キョンに好かれる女の子になりたかった。それが彼女の願い。

気の強いハルヒタイプにならなかったのは、それでは勝ち目はない…というとすごい言い方が悪いのですが、意味がない。
世界を改編して、ハルヒがいない世界をキョンが選ぶかどうかを試したかったのですから。
ハルヒの代わりじゃ意味がない。

そう考えていくと、この物語は壮大な恋愛ものです(後述しますが個人的にはSF要素の方が重要)。
それがここまで苦しく切なくなってしまうのは、想われ人のキョンの視点から見ているから。
なーんにもわかっていない彼の目から見たら、この物語は「感情を持ったアンドロイドの暴走」です。
そして、そのことに気付いているのがおそらく一樹とみくるしかいない。
キョンとハルヒはもとより、有希もわかっていないはずです。
それが、すごく、悲しい。



みくる(大)は辛かった。見ているこっちも辛かった。
有希の感情をわかっていて、それを止めることができない無力さ。そして、自分の気持ちを押し殺した郷愁。
ベンチのシーンで呟いた言葉、多分、あれが彼女なりの決着だったんだと思います。




…もしかしたら、ちょっとくらいは有希も自覚しつつあるのかなと、あったらいいなと思いました。
最後の病院で、「ユキ」という言葉に顔を上げた有希は(蛇足ですがあの台詞はこの映画唯一の失敗だったと思います発音が。でもどうすべきだったのか)、そして舞い降りる雪を受け止めた有希は、何かに気付いたかもしれません。


ラストの図書館のシーン、見た時は“改編前”だと思って、要するに「羨ましいな」という意味だと受け取り大変切なくなりました。
でも、仮に“改編後”だとすると、「…恥ずかしい」というとってもかわいらしい感情の発露な訳です。
どっちだろう。
どちらとも取れるようにしたのだと思っておきます。だって、面白いから。



一つ余談。
主題歌のジャケット、本編のシーン共に最高でしたが、個人的には“改編前”の長門とキョンじゃないかと邪推してます。
個人的には、挿絵のおかげで「…よかったら、これ」と袖引くシーンが大変印象に残っているので、前者はちょっとがっかりしました。




最後に、初めに戻って「うらやましいですね」。
改編前も後もどちらの一樹も同じ台詞を言いました。
ただ、改編後はキョンに向かって(茶化し気味とはいえ)直接言った。
かき消えてしまう呟きではない。
何より、キョンはその言葉の意味を半分以上理解できている。

それが『消失』後のSOS団とキョンの関係を作っていったのではないかと思いました。
この出来事を機に、部外者だという意識はキョンの中から消失する。
今まで見ないようにしていた“自分に向けられている感情”に目を向けるようになった。

世界はハルヒとキョンの為のものではなくなった。

大きな大きなターニングポイント、それが『涼宮ハルヒの消失』。




SOS団に注目した見方になってしまい、影の主役朝倉さんや、MVP谷口等々に触れられませんでしたが、もう一回見に行く気力はありません。
ずっと泣いてるしかないと思うので。


ああでも、葛藤している時に出てきた向こう側のキョンは萌えというより蕩れ、いっそ“ホゲー!”(c絶望放送)だった!演出共々!
踏みつけられている時が特によろしかったです。
鬼畜攻め×へたれ受け、しかも同じ顔の禁忌のオプション付き!

シリアスな場面なのにあそこだけ妙にテンション上がりました。
困ったものです。





この感想を書くにあたって思ったこの世界の不確かさについてちょっとメモして、終わります。

「君は今唐突に生まれてきたのかもしれないよ」
京極堂が言った台詞は、頭の隅にこびりついています、うろ覚えだけど。

もし、この世界がハルヒが作り出したものだったら。
彼女が生まれた瞬間に世界は作り出されたとしたら。
それまでの記憶を埋め込まれた大人がいて、、遠い遠い宇宙にまで影響を及ぼして、彼女が望んだから周囲の人間が作り出されたのだとしたら。
一分一秒前の自分は、本当に存在していたのか?

永遠の疑念だと思います。
消失をSFとしてみると、すごく怖い話に早変わり。
改編される前の世界は存在していないのに、誰一人としてそのことを知らず、偽りの記憶を持ち、いつも通りの日常と信じて疑うことなく生活を続ける。

ここまで来ちゃえば、“何も変わらない”と同義ですが。
そう思うと足元がぐらぐらするのは何故でしょう。


もしキョンに記憶が残されていなかったらそうなっていたわけで、そうしたらハルヒとキョンは出会うことなく終わっていたのかもしれない。
世界はどうなっていただろう。

そんなあり得たけれど結局起こらなかった更にIFの運命について考えるのも、また一興です。

テーマ:アニメ
ジャンル:映画

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