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眠っている暇はない|オーシャンズを見た人に言いたい8つのこと

オーシャンズを見た人に言いたい8つのこと

2010.02.25 18:29|その他作品感想
何の情報も入れずに見に行ったのですが、ドキュメンタリィの皮をかぶった環境保護を訴える映画でした。

言いたいことは山ほどあるのに、上手く言えません。
書くの止めようかと思いましたし、こんなところで語ったってどうしようもない気もしますが、やっちまえの精神で。
(言い訳終了)

見に行った人も行かない人も。
周知の事実ですが環境問題と生物保護はビジネスで、
大々的に話題になる自然・環境映画のほとんどは、公平に・正確に、なんて作られていません。
オーシャンズも例外ではありませんでした。
とても残念です。



海は、日本人にとって身近でありながら近世ではないがしろにされていました。
一方で、今上映されている映画は海、もしくは水が冠されたタイトルが増えているように思います。
なので、もしかしたら『オーシャンズ』は偉大な一歩になるかもしれません。
でも、その一歩が間違っているのは我慢できません。

というわけで、ある程度の解説(ネタバレ)を含んだ知識の補完をしてみたいと思います。



前提として
・口頭と伝聞含む知識が元
・環境保護に対する見方は「自然は人に保護される程ヤワじゃない」
・日本人はアニミズムを持っている自然共生派(維新前まで)
・西側の欧の人と米が付く国に来た人は自然を支配しようとしている狩猟民族
・という感じの偏見持ち
・地球温暖化には基本的に懐疑的
な生物系の(大)学生がおもむくままに語っています。
というわけで相当偏っていますが、映画本編と合わせると±0くらいかもしれません。


映像作品ではなく、一つのプロパガンダ作品として見ています。

だって、海と人とのかかわりを「大航海時代」「獲りすぎ」「汚染」「捕鯨」しか言ってないんですもの。
今初めて公式サイト見ましたけど、伝えたいことは「海とは何か」「大いなる、そして驚異の生き物たち」なんですね。へえ。
だったら始めから「人」を抜きにすればいいのに何でわざわざ「人はこんなにも多くの生き物を殺したよ!」って言ってくるんでしょう。しかも唐突に。

この映画最大の笑いどころは、カジキマグロが出てきたと思ったらいきなり網に巻き込まれて死亡したところだと思います。あのシーン、色々おかしいような。





    0、それでもこの映画を「見るな」と言えない理由

やはり、「海について興味を持って欲しい」という思いからでしょうか。
スピードの解析度や鮮明さ、再現度は映画として満点です。
ガンガゼが動く音すら拾うことのできる集音マイクを使い、バックミュージックも適度な音にして自然の音を聞かせる、音に関するリアルさも十分です。
それから、映像自体も中々見られないものだと思います。
例えば、イワシの群れを巡る種々の捕食者たちの競合(大抵それらのうちの一種に注目しているので)。
アオウミガメその他の交尾。
微妙にマイナーな魚達の生態。
ウミイグアナやマキエイ、クジラの群れ。
ジュゴンの捕食風景。
ダルマオコゼが大好きです。
等々。
もしかしたら専門家にとっては見慣れた風景かもしれません、というか実際そうなのですが。

水族館ではリアルな脈動を感じられます。
でも、リアルな生態まではわかりません(活動時間が一番顕著)。
「あ、この魚ってこれ食べるんだ」
「ヒトデって夜行性なんだ」
なんて思えたら、十分“興味を持った”と言えるわけです。
正直なところ正確だと言いきれませんが……。






     1、観察者は、観察対象に常に影響を与える

量子力論なんて小難しい理屈はいりません。
ヒトが泳いでいることによる波、人工的な月の光で眠りを妨げられた魚がいるでしょう。
カメラを向けられてイワシが逃げられたかもしれません。逆に一匹多く捕食者が食べることができたかもしれません。
撮影によって大量のCO2が発生したでしょう。

一般には知られていませんが、ホエールウォッチングはクジラの生態を乱す原因になり得ます。
クジラたちは、日本付近には主に子育てで通過したり滞在したりします。
その、子育て中の敏感な母子に向かって、大きな音と波を作り出す船が近づく。
エサを取ろうとして追いかけていたら更に後ろから追いかけられる。
神経の細いクジラなら、ストレスが溜まってしまいます。エサが食べられなかったり、生活サイクルが狂ったり。
ぴったり隣に付けられて、思う方向に曲がれない。万が一曲がった場合、船はクジラと衝突し転覆します。そういう事故は実際あります。

上記の例はちょっと極端かもしれないので、別にどうしろという気はありません。
専門家ついてるって言ってますし。
こういったドキュメンタリィは必要です。
ホエールウォッチングのようにこちらから出向かないと自然と触れ合えない環境が増えてきました。
しかし、影響は常に考えなくてはいけません。たとえそれが瞬間だけだとしても、それは人がそう感じているだけかもしれないからです。

なんでこんなことを言いだすのかというと、夜のシーンでナンヨウハギが顔を出していたからです。
お前昼行性だろうに。





     2、“生態系”

さて、本題。
ナレーションで、「人間と自然が和解しなくては…」みたいな台詞があり、驚愕しました。
自然と人間は対等なのか!
人間は生態系に組み込まれてないんですね。

誤解を恐れずに言えば。
自然は偉大な母であり、猛威を振るう脅威であり、恵みをもたらす崇めるもの。
人はただ自然の営みに従うしかない。
これが農耕民族の考え方です。
更に海は、命の源であり死者の国であり。
海を泳げば死ぬ可能性も出てきます。津波は村を飲みこみます。
一方で常に豊富な食料をもたらしてくれる。
それを知ってか知らずか、海洋国の神話では、海洋神は天より下、冥界より上名微妙なポジション、更に海洋神が冥界神と同一視されている場合もあります(一番のメジャーはやはりトリトンとハデス)。

でも、狩猟民族はそれを知らない。
自然とは作り変えるもの、恵みは自らもたらすもの。
牛や豚は神様から与えられた人間の好きにしていいモノ。

その違いが如実に表れた映画だったと思います。
なんで「人と海とのかかわり」が大航海時代から始まるんですか。
人間は、海に住むと決めた体この時代から海とお付き合いしてきたというのに。

もしくは、大航海時代以降海、海を謙虚に扱わなくなったと言いたいのかもしれませんが、だったらもっとはっきり言って下さい。
どこの国や地域が悪いの?汚染物質って何?原因はそれだけ?

こういう思想だから、「謙虚な心で調査」なんてウィットのきいたジョークが飛び出します。
……何故、謙虚な心で調査を行ったらがホホジロザメの隣をついて回ることになるんでしょうか。
邪魔ですって。相手はそうは思ってないでしょうけど。







     3、混獲って何?

なぜなにコーナーの開始です。

混獲は、獲りたいと思った他の生物が網にかかってしまうことです。ざっくり。
取りざたされるのは、延縄(釣り針が付いた糸を一本の長いロープに等間隔で並べる)ですかね。
釣り針にマグロ以外の魚等がひっかかって死んでしまう。
あと刺し網と言って、海のある区間にネットを張り、網目に突っ込んだ魚を取る漁もあります。
もう一つ、定置網。
海の一画を、網で仕切って囲います。入口があって出口がふさがってる檻のようなものです。
これもやっぱり色々ひっかかります。
カメや、意図していない魚、稀に小型クジラもかかるとか。

確かに大問題です。
本当これは知られていませんが、カメが増えない理由の一つ、鯨類減少の一端を担っているという噂も。
日本は特に酷いと聞きます。
魚食にして漁獲大国だから仕方ないと言えば仕方ないですが……。
定置網、効率いいんですよね。

今、様々な対策がなされています。
しかし実現は容易ではありません。
一番はお金で、対策器具を取り付ける、もしくは新たに購入するお金なんて今の漁家には難しいですし、それを取りつけて漁獲高が少なくなったら大問題です。



     4、どうしてクジラは減ったの?

大まかに言うと日本と欧米諸国を始めとする捕鯨大国の獲りすぎです。
石油が発見される前の灯りの原料として、獣脂より臭くないという理由で鯨油が好まれていました。
光を手に入れたら、手放すことはできません。
ということでマッコウクジラ(頭が四角いやつ。≒ラブーン)は狩り尽くされました。
近くの漁場を潰した米が新たな漁場獲得の為にペリーさんを日本に派遣したのは有名ですね。

別に獲ってても構わないと思うのですが、やり方が最悪でした。
漁場が遠い→全部持って帰るのめんどくさい→頭から油抜いてポイ→一回の航海で二、三頭
正確にはポイ、じゃなくて沈んじゃうかららしいです。それから、
捕鯨国が増えた→自国の取り分が減る→シロナガス一頭までならいいよ(byIWC)→規制される前に獲りまくろう→シロナガス一党じゃ足りないんだけど→シロナガスとザトウクジラ2.5頭(他にもいろいろ)は等しいから獲るね
悪名高いBWU方式です(…ちょっと違うかも知れません)。

そりゃ、減りますよね。



      5、捕鯨ってなんでするの?

クジラと来たら、これは避けて通れません。
実際この映画でも触れるだろうなと思っていましたが、まさかあんな形とは。

そこここで言われていますが、日本が行っている調査捕鯨はIWC(クジラ守るから捕鯨に取り決め作ったよ団体)によって認められています。
IWCは国連のクジラverとでもいいましょうか。
60ヶ国以上参加していて、反捕鯨賛捕鯨半々ですが、それでも認められています。

調査するだけなら獲らなくても(殺さなくても)いいじゃんといいますが、クジラの年齢は耳の垢で測る方法が一般的というか、今のところ一番精度がいいです。
系群(後述します)や年齢構造を図るのには向いてます。
資源管理、つまりクジラを正しく保護する為に必要なデータです。
……曖昧ですね。しかし詳しく言うと長くなる…。

ちなみに昨今問題になった鯨肉横領ですが、昔から「お土産」と称しての持ち帰りはあったそうです。本当か知りませんが。


“世界”が止めろと言ってるんだから止めるべきだと言う人も言います。
が、前述の通り、クジラを守るために必要なことだと“世界”は認めています。
あとは、鯨肉は贅沢品だなんだとか。
一頭に何平方メートルもの敷地と測りきれない程のとうもろこしその他雑穀と水を必要とする牛とか、フォアグラ食ってる国に言われたくないなー。

てゆーか、クジラはかわいそうでカンガルーはかわいそうじゃないの?と、SSを支持している方々に聞いてみたいです。
カンガルーが害獣ならクジラだって害獣です。
正直、捕鯨反対派とは平行線をたどるしかないと思います。和解とか無理。







      6、クジラは減ってるんでしょう?

減ってるし、増えてますが正解。
系群や種ごとに、増減は違います。
人で言うと、世界規模でみれば人口は増えてるから規制しなきゃいけない、そうしないと食料危機が起こる。
でも、個別に見ていくと日本みたいに出生率が低くて、もしくは他の国との競合で負けて食料が手に入らなくて、人口が減っている国もある。
そんな感じです。

一番言われているのはミンククジラ(小さめのクジラ)とシロナガスクジラ(上野にいますね)
両方とも同じ場所で同じエサを食べます。
繁殖能力はミンクの方が上です。
捕鯨オリンピックによってシロナガスは激減しました。
もうおわかりいただけたでしょうか。
シロナガスが増えない原因はミンクの増えすぎという意見もあります。

あえて一つ付け足すと、最近は人とも餌を共有しなくてはいけなくなりました。
クジラの食べる魚類の総量は馬鹿になりません。最近の人間の魚食率も馬鹿にならなくなってきました。
ミンク達の食べる餌は、人間やハクジラが食べる魚の餌になります。
ミンクが増え過ぎてプランクトンを大量摂取すれば、その分巡り巡ってマグロに回る栄養が減るかもしれません。
じゃあ、魚食べなきゃいいじゃんって話ですけれど。



     7、で?

オーシャンズでは混獲と調査捕鯨といるか漁が一緒に紹介されていました。
「混獲でたくさんの生物が死んでいます。」
「クジラも銛で殺されています」
「イルカなんてほら、血みどろになって」
違うでしょう。
調査捕鯨はクジラの為。
いるか漁はその地域の食料の為。
混獲は漁の弊害。
全部、目的も手段も違います。

しかし、実際あの流れを見て捕鯨に嫌悪感を覚えない人は少数でしょう。
だって、今まで「クジラすごいね!」って言ってきたんだもの。
「クジラの歌です」とザトウクジラの求愛行動の鳴き声を聞かせておいて、今度は断末魔ですか。

ついでに、ヒレだけとって捨てられて達磨になったサメがいました。
おそらくフカヒレ用でしょう。
衝撃を受けました。確かに効率もいい。サメって他に利用できるところ少ないですから。
でも、あなたの国、クジラで同じことやりましたよね?




     8、自然保護というもの

最後に。
自然保護が叫ばれています。
啓蒙用の作品はいくつも作られました。
人々は生物を保護しようと努力しています。
しかし、その弊害が起こっています。

メディアに乗らない生物なら、気にしなくていい。
滅びないのなら別に構わない。
世論が保護する対象は何が何でも守らなくてはいけない。

人知れず滅ぶジャングルの虫。
増えすぎて人に害をもたらしても、間引きしたら捕まってしまうゾウ。

命に多様性があるというのなら、命に価値があるというのなら、どちらも平等に扱うべきだと私は考えます。
間違った自然保護が世界を占拠している。


それが海洋にも及ぶことを私は危惧しています。
クジラは、何が何でも保護しなくてはならない。科学が認めても、かわいそうだからしてはいけない。
せっかく生まれた傍から捕食されるなんてかわいそうだからウミガメの卵は保護します。

こんな極端な人はいないと思う。
でも、この映画を見てそんな幻覚が聞こえてきました。






あとはどうしても呟きたくなったことを収納しました。
もう完全個人の意見。というか何言いたいのかわからない。




     ウミガメについて。
人口孵化は極力避けてください。
卵が産んである巣を移動するのも、出来れば止めてください。

それらの行動は、孵化率(=出生率)を低くする場合が多いです。

それから、できれば放流会はやめてください。
もしくは昼ではなく夕方に行ってください。

朝や昼に海に出ようとすると、彼らの姿は丸見えです。
オーシャンズに出てきたとおり、仔ガメの回りは天敵だらけでした。
目立つ獲物は、その分見つかってしまいます。
青い背景で黒い小さな物体が泳ぐ光景は、上からも下からも丸見えなんです。

もう一つ、仔ガメは泳ぐために手足をばたつかせます。
これは本能行動、自らの意思で始めたり止めたりはできません。
この行動が続くのは3~4日、この間に外洋に出る必要があります。
でも、放流会はもしかしたら孵化後の仔ガメを何日か“保護”しているかもしれません。





    クジラ達。
まず一般常識として、クジラとイルカに明確な区別はありません。
“ヒゲクジラ”と“ハクジラ”に別れますが、それだって人種が違う程度です、亜目ですから。
ヒゲクジラはプランクトンやオキアミ、小魚を食べる比較的大型の種。
ハクジラは魚や小型ハクジラや海獣(アザラシ等)を食べる中型~小型の種。
歯があったってクジラ(逆はありませんが)。イッカクもハクジラ。
そういえば母は「シャチってシャチでしょ?」などと妄言を抜かしておりました。クジラですよお母様。


    クジラの回遊について。
子供や妊婦(婦?)は弱いので、暖かい海での生活が向いています。
しかし、冷たい海にはプランクトンやオキアミが豊富なため、あの巨体を保つためにクジラ達は季節単位のサイクルで海を巡ります。
シロナガスの雌は冬季はほぼ絶食するとか。

ようするにヒゲクジラは赤道付近と南極(もしくは北極)付近を行き来しているわけです。
地球は一周しません。
さらにいうと、赤道直下に住むことのできる種はほとんどいないので、ほとんどのヒゲクジラには南北の半球で微妙に差があります(=系群)。
これは……日本人と中国人と言ったレベルでしょうか。
大きさ、色、形など。
オーシャンズでよく登場したザトウクジラ、お腹側が白いのに気付かれたでしょうか。
これは南半球の個体によく見られる特徴だそうです。
ちなみに、ザトウクジラは尾で個体識別ができるため最も回遊パターンがわかっているそうです。

ブリーチング(いわゆるクジラのジャンプ)やバブルネットフィーディングについては省略します。

クジラやイルカについても色々言及したいのですが長くなるので以下略。





    もっと小さな生き物
魚や、海藻や、カニや、タコや。
たくさん出てきました。
彼らは毒を持つ場合もあります。
人に害を加える時もあります。
生態系が崩れ、海草がはびこっている地域もあります。

動物は動物です。
かわいい、弱いものじゃありません。

守られなきゃいけないんじゃない。
人の手を加えることが必ずしも良い結果を招くわけではない。

テーマ:見た映画の感想
ジャンル:映画

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